ネット上の情報やセルフ診断で最も頻発しているのが、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)との混同です。両者はともに「土踏まず周辺の痛み」として自覚されることが多いため見誤られがちですが、好発部位と痛みの出方に明確な違いがあります。
- 足底腱膜炎:痛みの中心は「かかとの裏(足底の骨の際)」。朝起きて最初の一歩目に激痛が走り、歩くうちに少しずつ軽快する特徴があります。
- 後脛骨筋腱炎:痛みの中心は「内くるぶしの後方から真下、舟状骨粗面」。動き始めだけでなく、運動を続ければ続けるほど牽引ストレスが蓄積して痛みが悪化する傾向があります。
さらに見逃せない医学的リスクが、炎症の慢性化から移行する後脛骨筋腱機能不全症(PTTD: Posterior Tibial Tendon Dysfunction)です。日本足外科学会の診療指針等でも警告されている通り、腱の炎症を「たかが使いすぎ」と放置すると、腱組織の変性・菲薄化(薄くなること)が進み、最終的には腱が完全に伸び切るか断裂します。
腱の機能が破綻すると、成人になってから急激に土踏まずが潰れる「成人期獲得性扁平足」を発症。一度骨構造まで変形が固定化(ステージIII〜IV)してしまうと、もはやテーピングやインソールでは元に戻せず、骨切り術や関節固定術といった大規模な外科手術を余儀なくされます。「内くるぶしの下の腫れ」を放置することは、足の寿命を削る行為に他なりません。