裁判の舞台となった京都地方裁判所での初公判以降、法廷は終始異様な熱気に包まれていた。犯行に使用されたのは、極めて殺傷力の高い青酸系化合物。健康食品やカプセル剤に偽装して被害者に飲ませるという毒殺トリックはあまりにも用意周到であり、法医学者や捜査員を驚愕させた。
被告側は認知症の影響や無罪を主張し、法廷での証言は二転三転を繰り返した。しかし、残された緻密なノート、毒物の入手ルート、金融機関の口座履歴といった膨大な物証が犯行の計画性を証明した。最高裁判所が最終的に上告を棄却して死刑判決が確定し、司法・刑事裁判としての手続上は区切りがついた。だが、被告の口から真相がどこまで語られたのかについては、いまなお疑問の声が残る。