「サライ」の誕生は1992年にさかのぼる。日本テレビ系『24時間テレビ』の放送時間内に曲を作るという、当時としては極めて無謀な挑戦からこの曲は生まれた。作曲を手掛けた弾厚作(加山雄三)の温かいメロディに乗せるため、谷村新司さんが行ったのは、全国から寄せられた視聴者の「愛のメッセージ」を読み解くことだった。
送られてきた膨大なハガキには、それぞれの人生、家族への想い、そして故郷へのノスタルジーが綴られていた。谷村さんはそれらの言葉を丁寧にすくい上げ、一つの詩へと昇華させた。つまり、この歌詞は谷村さん一人の頭から生まれたものではなく、日本中のお茶の間の記憶と感情が結晶化した「共同制作の奇跡」なのだ。