宗介とポニョがリサを探す旅の途中でくぐる、暗いトンネル。このシーンは、映画の中で最も不気味な雰囲気を漂わせています。トンネルの手前には、大正時代を思わせる古い服を着た夫婦が赤ん坊を連れて佇んでいました。彼らの静けさは、明らかに現代の人間とは異なる異質なものです。
さらに、トンネルに入るとポニョの魔法が解け、半魚人から人間の姿、そして最終的には魚の姿へと戻ってしまいます。宗介が持つおもちゃのポンポン船の火も消えてしまいます。トンネルは古来より、あの世とこの世をつなぐ境界(産道、あるいは冥界への入り口)として描かれることが多いモチーフです。ここを通り抜けたことで、宗介たちもまた、生者の領域から一歩踏み出してしまったと考えられます。