黄色い新幹線の正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」と呼びます。現在運用されている主力形式は923形(JR東海所属の0番台・通称T4編成、JR西日本所属の3000番台・通称T5編成)で、700系新幹線をベースに設計された特殊車両です。
「新幹線のお医者さん」と呼ばれる理由は、走行しながら線路の歪み、架線の摩耗状態、信号電流の受信状況などをリアルタイムで計測・診断する能力にあります。東海道・山陽新幹線の軌道検測の仕組みは極めて精緻です。営業列車と同じ最高時速270kmで走行しながら、車体下部に設置されたレーザーセンサーやカメラ、屋根上の検測用パンタグラフを駆使し、レールの幅や高低差のズレを1ミリ以下の精度で即座に検出します。
車体が鮮烈な黄色に塗られている理由は、夜間の保守点検時や遠方からの視認性を高めるためです。白が基本の営業列車と一目で区別でき、沿線の作業員が危険を察知しやすい安全対策としての意味合いが込められています。かつて初代ドクターイエロー(922形)が登場した0系新幹線時代から、この黄色い塗装は安全の象徴として半世紀以上にわたり受け継がれてきました。