感染経路をめぐる議論で特に混同されやすいのが、「飛沫感染」「空気感染」、そして「エアロゾル感染(マイクロ飛沫感染)」の3つの違いです。それぞれの特徴を整理すると、粒子の大きさと滞留時間に明確な違いがあります。
まず、飛沫感染との違いについて見ていきます。従来の飛沫感染は、直径がおよそ5μmを超える大きな水分粒子が対象です。これらは重さがあるため、発生源から約1〜2メートル以内の範囲で床や机に落下します。そのため、物理的な対人距離(ソーシャルディスタンス)を確保することで大幅に防ぐことができました。
一方で空気感染との違いはどうでしょうか。医学的に古典的な空気感染(飛沫核感染)は、結核や麻疹(はしか)、水痘などに代表され、水分が完全に抜けた極小の病原体が空調設備などを介して建物全体など広範囲に拡散するものを指します。これに対してエアロゾル感染は、主に密閉された同一空間内にとどまり、一定時間空気中を漂うマイクロ飛沫感染を中心とした概念として実務上整理されています。
新型コロナやインフルエンザの感染経路においても、近距離での濃厚接触だけでなく、十分な換気が行われていない室内でのエアロゾル吸入が主要な要因の一つであることが数多くの研究で示されています。