美術の伝統と現代性が交錯する独自の感性は、どのような歩みの中から育まれたのだろうか。小林みなみは、日本最高峰の芸術教育機関である東京藝術大学美術学部油画専攻で学業を修め、2015年に卒業した。国内で着実に実力を磨いた後、彼女はすぐさま太平洋を渡る選択をする。
進学先に選んだのは、多くの世界的現代アーティストを輩出してきたシカゴ美術館附属美術大学(School of the Art Institute of Chicago, SAIC)である。2018年に同大学院で修士号(MFA)を取得。異文化の空気に触れ、多様な価値観が混在する環境に身を置くことで、彼女の表現手法はより多角的な深みと広がりを獲得していった。
大学院修了後も一箇所にとどまることはなかった。アメリカからヨーロッパへと活動領域を広げ、現在はロンドンにスタジオを構える。東京、シカゴ、ロンドンという世界規模の都市を渡り歩いてきた彼女の移動体験そのものが、作品に漂う特有の異邦人的な視点や、空間に対する鋭敏な感覚の源泉となっている。