国はいま、二つの大きな課題の狭間で揺れている。農林水産省が強力に推進するフードロス削減運動は、まだ食べられる食品の廃棄を減らすことを目指している。だが、だからといって消費期限を過ぎた危険な食品まで無理に食べることを推奨しているわけではない。
消費者庁や厚生労働省が繰り返し啓発を行っている通り、家庭内での食中毒予防は公衆衛生の要だ。厚生労働省の統計によると、家庭で発生する食中毒は飲食店での事故と同等以上に多く、その原因の多くは過信や保管温度の不備にある。「もったいない」の精神は尊いが、期限切れの生鮮食品を無理に消費して健康を害しては本末転倒と言わざるを得ない。