女性側の所要時間が長いこと以上に、行列を悪化させている決定的な原因がトイレ混雑の構造的要因です。多くの公共施設や商業施設、とりわけサービスエリアで女子トイレが混雑しやすいのは、建物の設計段階における女性トイレの個室数不足に起因しています。
従来の建築設計では、男女のトイレスペースに対して「ほぼ同じ床面積」を割り当てることが一般的でした。しかし、男性用トイレには省スペースで設置できる小便器と個室が並ぶため、同じ面積の中に例えば10基の器具を配置できます。一方で、全数を個室にする必要がある女性用トイレでは、間仕切りドアや動線スペースが必要となるため、同じ面積でも4〜5基程度しか個室を確保できませんでした。
「1人あたりの滞在時間が約3倍」であるにもかかわらず「同時に利用できる器具数が半分」という環境では、女子トイレの行列がなぜ発生するのかは自明です。計算上、混雑スピードは男性側の5〜6倍に達してしまいます。劇場の幕間(休憩時間)や高速道路のSAのように、特定の短い時間に大勢が一斉に利用する場所では、構造的な供給不足によって一瞬で長蛇の列が形成されてしまうのです。