デジタル作画におけるペンの駆動方式は、大きく二分される。長年業界の標準として君臨してきた「電磁誘導方式(EMR)」と、近年のモバイル端末で主流となった「アクティブ静電結合方式(AES/アクティブスタイラス)」だ。この2つの違いを理解せずにペンを選ぶことは、画材の特性を知らずに筆を買うようなものと言える。
電磁誘導方式の代表格である株式会社ワコムの技術は、ディスプレイ側にセンサー基板を配置し、ペンの共振回路と磁界を介して通信を行う。ペン側にバッテリーを積む必要がないため、驚くほど軽量で重心バランスが崩れない。名機と名高い「Wacom Pro Pen 2」に代表されるように、手首への負担が極端に少なく、繊細なフェザータッチから力強いストロークまで無段階に表現できる点がプロから絶大な信頼を集める理由だ。
一方で、充電を必要とするアクティブスタイラスペン陣営も猛追を見せている。通信プロトコルの高速化により、ペン先と描画位置の視差(パララックス)を極限まで排除。ガラスの厚みを感じさせないダイレクトな描き味は、精密な線画を求めるイラストレーターたちを唸らせている。