俳優としての顔と並び、人々の記憶に強く刻まれているのが『世界陸上』のメインキャスターとしての熱狂的な姿だ。四半世紀にわたりトラックの熱戦を伝えた彼の言葉には、計算されたアナウンス技術とは対極にある、剥き出しのパッションが宿っていた。
アスリートの極限の努力に寄り添い、喜びを爆発させ、時には悔し涙を滲ませる。その飾り気のない生々しいリアクションは、予定調和を好むテレビの枠組みをことごとく突き破った。表現することの本質は、心の底からの感動を伝えることにある。彼の根底に流れるその哲学は、芝居の現場でも、スタジアムの放送席でも寸分違わず同じだった。