ネット上の言説やドラマファンコミュニティにおいて、しばしば「ドラマのリカは原作漫画とまったく同じキャラクターである」と誤解されることがあります。しかし、柴門ふみによる原作漫画『東京ラブストーリー』と、坂元裕二脚本によるフジテレビ版ドラマには、決定的な構造上の差異が存在します。
柴門ふみの原作における赤名リカは、アフリカ育ちの圧倒的な野生味と奔放さを持ち、既成概念を平然と飛び越えるアナーキーな存在として描かれています。性に対しても徹底して開放的で、カンチ以外の男性との関係も含めて自らの本能に従って生きる、よりタフでアグレッシブな造形でした。
対してドラマ版では、プロデューサーの大多亮と脚本の坂元裕二、そして鈴木保奈美自身の繊細な役作りによって、「一途さゆえに孤独を抱える純真無垢な女性」へと再構築されました。カンチへの愛が重すぎるあまり自滅していく切なさや、明るい笑顔の裏にある壊れそうな脆さを鈴木保奈美が見事に体現したからこそ、視聴者は彼女に深く感情移入し、日本中を巻き込む大ヒットへとつながったのです。
また、鈴木保奈美と織田裕二の間に長年囁かれていた「不仲説」についても、2018年および2026年に放送された月9ドラマ『SUITS/スーツ』シリーズでの27年ぶりの再共演によって完全に払拭されました。鈴木保奈美演じる法律事務所代表・幸村チカと、織田裕二演じる敏腕弁護士・甲斐正午としての息の合った掛け合いは、長年の歳月を経て互いのキャリアと実力を認め合う、成熟したプロフェッショナル同士の信頼関係を如実に物語っていました。