ナポリで毎年開催される「世界ピッツァ職人選手権(通称:カプート杯 / Trofeo Caputo)」は、世界中から数百人規模の凄腕職人が集結するピッツァ界最高峰の競技会です。この本場イタリアの聖地において、2000年代後半以降、日本人職人がクラシカル部門(S.T.G.部門)をはじめとする主要カテゴリーで幾度も世界チャンピオンに輝いており、世界のピッツァ界に大きな衝撃を与え続けています。
なぜ、本場ではない日本の職人がナポリの巨匠たちを唸らせる一枚を焼き上げられるのか。そこには日本人の緻密な探求心と、過酷な環境への適応力があります。
日本の気候はイタリア・カンパニア州に比べて四季の温度・湿度変化が極めて激しく、梅雨や猛暑など生地管理にとって過酷な条件が揃っています。この環境下で安定した発酵状態を作り出すため、日本人職人は小麦粉のロットごとの吸水率の差異や、薪の乾燥度合いによる燃焼カロリーの変化をミリ単位で微調整する職人的規律を確立しました。現地メディアからも「日本人のピッツァイオーロは、ナポリ人以上にナポリの伝統と素材の対話に忠実である」と高く評価されています。
また、日本国内で基礎を固めた後に「ピッツァ職人 イタリア留学」を経て、ナポリ現地の老舗ピッツェリアでスタジエ(研修生)として寝食を忘れ窯前に立った経験を持つ職人が多いことも、本場のソウル(精神性)を体現できる大きな要因となっています。