『風になりたい』が老若男女問わず身体を動かしたくなる衝動を生む理由は、精密に計算されたリズム構造とコード設計にあります。
本作の基本リズムは、2拍子のサンバ・ヘギやパゴージの躍動感をJ-POPの骨格に落とし込んだものです。裏拍を強調するシンコペーションと、畳み掛けるようなパーカッションのアンサンブルが、聴き手の心拍数を自然と引き上げます。イントロなしでパーカッションのカウントから一気に祝祭空間へと引き込む構成は、ライブ空間を一瞬で一体化させる魔法の導火線でした。
コード進行に目を向けると、主要部分は「C - G/B - Am - Em - F - C - Dm7 - G7」という、ポピュラー音楽における王道のカノン進行をベースにした親しみやすいダイアトニックコードで構築されています。複雑なテンションコードを多用せず、誰もが耳馴染みよく歌えるシンプルさを維持しながら、メロディの跳躍とリズムのウネリによって圧倒的な推進力を獲得している点が、宮沢和史の作曲スキルの真骨頂と言えます。