莫大な資産と不労所得を持ちながら、なぜ冨樫氏は執筆活動を完全に引退しないのでしょうか。休載の最大の理由は、怠慢などではなく極めて深刻な腰痛と坐骨神経痛という健康上の苦闘にあります。
冨樫氏は原画展の開催時や自身の公式X(旧Twitter)アカウント等において、症状が悪化していた時期は「椅子に座ることができず、寝たきりの状態でクッションを抱えながら原稿を描いていた」「トイレで用を足すことすら激痛で困難だった」という壮絶な闘病体験を明かしています。漫画を描くという行為そのものが身体を極限まで痛めつける作業でありながら、アシスタントに丸投げせず自らのタッチでキャラクターの感情を描き切るこだわりが、執筆ペースを落とさざるを得ない直接的な背景です。
経済的には何世代も遊んで暮らせる資産を持ちながらも、痛みに耐えながら少しずつ原稿用紙に向かい続ける姿は、冨樫氏を突き動かしているのが「金銭的な動機」ではなく、「物語を自らの手で完結させたいという純粋な作家魂」であることを物語っています。