東京駅の複雑さを生み出している最大の要因は、地上と地下にまたがる多層構造と、大きくふたつに分かれた「丸の内」と「八重洲」のエリア特性にある。西側に位置する赤レンガ造りの美しきシンボルは、明治・大正期の巨匠として知られる建築家・辰野金吾が設計を手掛けた。この歴史的遺産は、創建当時の姿を忠実に蘇らせた東京駅丸の内駅舎保存・復元事業を経て、今や国内外の観光客を魅了する景観として親しまれている。
一方で東側の八重洲エリアは、八重洲グラントウキョウ再開発プロジェクトをはじめとする大規模な都市開発により、先進的な高層ビル群が立ち並ぶ近代的なビジネス街へと変貌を遂げた。さらに管理主体の違いも構造を複雑にしている。在来線および東北・上越・北陸新幹線を管理する東日本旅客鉄道株式会社と、東海道新幹線の運行を担う東海旅客鉄道株式会社の各エリアが複雑に交錯しているため、改札の通過や乗り換えの選択には注意が必要だ。