仲代達矢の代表作は、そのまま日本映画史の黄金年表と言っても過言ではありません。とりわけ小林正樹監督と黒澤明監督という二大巨匠との仕事は、世界中の映画ファンやフィルムメーカーを驚嘆させました。
小林正樹監督の不朽の名作『人間の條件』全6部作(1959〜1961年)では過酷な運命に抗う主人公・梶役を渾身の演技で務め上げ、一躍トップスターへと躍り出ます。さらに1962年の『切腹』では、武家社会の不条理を告発する浪人・津雲半四郎を鬼気迫る迫力で演じ、カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞しました。
そして黒澤明監督の映画では、『用心棒』『椿三十郎』『天国と地獄』で三船敏郎と緊迫感あふれる火花を散らした後、三船の降板を受けて主演に抜擢された『影武者』(1980年)でカンヌ最高賞パルム・ドールを獲得。続く超大作『乱』(1985年)では狂気に狂う一文字秀虎を見事に演じ切り、世界の映画史にその名を永遠に刻み込みました。