彼のキャリアは、最初から華やかなミュージシャンだったわけではない。宮崎県から大阪へ出た後、ユニットバスのメーカーでトップクラスの営業成績を誇るサラリーマンとして働いていた時代がある。昼間はスーツを着て奔走し、夜や週末になるとギターを抱えて堺の商店街の街頭に立つ生活を送っていた。
ふたりの出会いは、その会社員時代にさかのぼる。同じ職場で出会った彼女は、まだ音楽で生計を立てられる保障などどこにもなかった青年の夢と苦悩を一番近くで見つめていた。1997年、彼が正式に音楽の道へ本格的に踏み出す決意を固めた時期と重なるようにふたりは結婚。安定した会社員の地位を捨てて不確実な世界へ飛び込む夫の手を握り、共に歩む決断をした彼女の存在なしに、その後のストーリーは生まれなかった。