松井秀喜のキャリアの頂点として語り継がれるのが、2009年ワールドシリーズでの大爆発とアジア人初のMVP獲得だ。フィラデルフィア・フィリーズとの第6戦、松井が放った特大ホームランと鬼気迫る打棒は、ニューヨーク・ヤンキースを世界一へと導いた。
その歴史的快挙の舞台裏にあったのが、マンハッタンと近郊の邸宅で営まれていた極めて規則正しい家庭生活である。妻は松井のコンディションを第一に考え、栄養バランスの取れた和食中心の食生活を徹底管理。アメリカ特有のハードな移動スケジュールから帰宅した松井を、一切の雑音がない温かな手料理と落ち着いた住空間で迎え入れた。
どんなに球場で熱狂的な喝采を浴びても、玄関のドアを開ければ普通の夫と妻に戻る。この絶対的なオンとオフの切り替えが、厳しいニューヨークのメディア環境の中で松井がメンタルをフラットに保ち続けた最大の秘訣だった。