『ダブル・ファンタジー』で孤独な自由を選び取った奈津の物語には、その先が存在します。2018年に刊行された正統続編『ミルク・アンド・ハニー』です。
舞台は前作から数年後。40代となった奈津は、信州の高原に拠点を移し、新たな生活を始めていました。前作で激しい性の嵐をくぐり抜けた彼女が、年下のパートナー・慎治との穏やかで濃厚な愛の日々の中で、いかにして加齢、創作への執着、そして母の死と向き合っていくのかが描かれます。
『ダブル・ファンタジー』が「自己の解放と破壊」の物語であったとすれば、『ミルク・アンド・ハニー』は「再生と成熟」の物語です。2作を続けて読むことで、村山由佳が描き出そうとした女性の生涯のダイナミズムがより鮮明に浮かび上がってきます。