近年、日本国内で熱狂的な広がりを見せるスパイスカレーの潮流は、キーマカレーの再評価を決定づけた。本場のインド料理が持つ多様な表情が、日本のカレーファンに浸透しつつある。
カレー修業や独自のスパイス理論で知られる水野仁輔氏は、キーマカレーの本質を「挽き肉から出る旨味とスパイスのダイレクトな融合」と分析する。ひき肉の表面積の広さを活かし、ホールスパイスの香りを短時間で肉に移す技法は、インドの家庭や屋台で長年磨かれてきた技術だ。
また、スパイス料理研究家の印度カリー子氏も、キーマカレーの自由度の高さと短時間調理の魅力を発信している。肉の種類やスパイスの組み合わせ次第で、トマトベースの爽やかな一皿から、コリアンダーを効かせたドライな「ブーナキーマ」まで変幻自在に変化する。キーマカレーは単なる挽き肉カレーではなく、スパイスと肉汁の小宇宙なのだ。