ネット上の掲示板やSNSでは、大相撲の懸賞金についていくつかの誤った情報が流布されています。ここでは現場取材に基づく正しい事実を整理します。
誤解1:「行司が懸賞金を落としたらその力士は没収される?」
行司が土俵上で祝儀袋の束を取り落としたり、力士が受け取り損ねたりした場合でも、権利が消失することは一切ありません。懸賞金は土俵上での受け渡し以前に協会事務局で厳密にデータ管理されており、所作の乱れによって金銭の権利が左右されることはありません。
誤解2:「十両や幕下の取組にも懸賞をかけられる?」
原則として懸賞をかけることができるのは「幕内(前頭以上)の取組のみ」です。十両以下の力士の取組に懸賞が設定されることは協会の規定上認められていません。関取の中でも幕内と十両の間には、給与面だけでなく懸賞金という巨大な副収入の獲得機会においても大きな格差が存在します。
誤解3:「懸賞金は全額自由に使える小遣いである?」
前述の通り、現金として持ち帰れるのは額面の半分(3万円)です。さらに大部屋を支える関取は、付け人へのご祝儀や巡業先での食事代、後援会関係者への返礼など、相撲界特有の交際費に多くを充てるのが通例であり、すべてを私利私欲に消費できるわけではありません。