日本におけるアメ車の低迷を語る上で象徴的な出来事が、2016年のフォード・モーター完全撤退です。フォードは「フィエスタ」や「フォーカス」など、ヨーロッパ市場向けに開発された右ハンドルの優秀なコンパクトカーを日本に投入していましたが、最終的に撤退を余儀なくされました。
日本自動車輸入組合(JAIA)の新車登録台数統計を見ると、輸入車市場全体ではメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディといったドイツ勢が上位を独占し、年間数万台規模を売り上げています。これに対して、GM(シボレー・キャデラック)の販売台数は年間千数百台規模にとどまります。唯一、ステランティス傘下のJeep(ジープ)ブランドのみが、「ラングラー」の強烈なアイデンティティと早期の右ハンドル化・正規ディーラー網の整備によって年間1万台前後を売り上げる例外的な成功を収めています。
海外の経済アナリストやメディアはフォードの撤退について、「日本市場特有のきめ細やかなアフターサービス網の構築を怠り、ブランド価値を確立できなかった。撤退は日本の閉鎖性のせいではなく、投資戦略の失敗」と総括しています。