世界保健機関(WHO)や国連環境計画(UNEP)は、地球規模でのプラスチック汚染評価を加速させている。これまでの調査で判明した体内侵入ルートは、主に「経口摂取」「吸入」「経皮吸収」の3つだ。
東京農工大学の高田秀重教授(環境化学)は、プラスチックゴミが紫外線や波浪で破砕され、有害物質を濃縮しながら食物連鎖を通じて人間へと還流する動態を長年にわたり追究してきた。海洋生物の消化管から筋肉組織への粒子移行や、海塩・魚介類を通じた日常的な摂取リスクは無視できない水準にある。
一方で、アムステルダム自由大学のディック・ベサック教授らをはじめとする欧州の研究グループは、室内環境における「呼吸による吸入」の脅威を指摘する。合成繊維のカーペット、衣類、カーテンから剥離した微細な繊維くずは室内のホコリとなり、空気中に浮遊している。人間は1日あたり数千個から数万個規模のマイクロプラスチックを無意識に吸い込んでおり、その一部は気道粘膜を突破して肺胞深部に到達している。