『鎌倉殿の13人』の脚本を手掛けた三谷幸喜は、鎌倉幕府の正史とされる『吾妻鏡』を丹念に読み解きつつ、歴史の空白部分に大胆かつ緻密な人間ドラマを組み込みました。
最大のミステリーとされる源頼朝(大泉洋)の死亡理由について、史実では落馬が引き金とされていますが、劇中では直前に意識を失う脳血管障害を思わせる描写や、これまで粛清してきた者たちの怨霊に苛まれる精神的崩壊を重ね合わせるなど、多層的なドラマとして演出されました。
また、歴史の転換点となった承久の乱における「北条政子の名演説」の解釈も秀逸でした。史実では安達景盛が代読したとされる演説を、劇中では政子自身が感情を剥き出しにして御家人たちへ直接語りかける形へと改変。頼朝の恩義にすがるのではなく、「鎌倉の誇りを守るために戦う」という自立したメッセージへと昇華させ、視聴者を熱狂させました。