2013年の東京都議会議員選挙で初当選を果たした塩村氏は、一躍「美しすぎる議員」として脚光を浴びました。しかし、その知名度が劇的な形で全国区となったのは、2014年6月の都議会本会議で起きた「セクハラヤジ問題」でした。
妊娠・出産や子育て支援に関する一般質問を行っていた塩村氏に対し、議場から「早く結婚した方がいいんじゃないか」「産めないのか」といった品性を欠くヤジが飛び交い、彼女が議席で涙を浮かべる映像はCNNやBBCをはじめとする海外メディアでも大きく報じられました。日本の男尊女卑的な政治風土を象徴する事件として、自民党都議(当時)が謝罪に追い込まれる事態へと発展します。
ところが、この騒動を契機にネット掲示板やSNS上で急速に巻き起こったのが、『恋のから騒ぎ』出演時の過去動画の掘り起こしと激しい二次バッシングでした。
- デジタルタトゥーの拡散:「慰謝料1500万をせしめた悪女」「男を妊娠詐欺で脅した過去がある」といった当時の切り抜き動画が動画サイトやまとめブログに無数にアップロードされた。
- 被害者叩きの構図:「ヤジは悪いが、こんな女性を応援できない」「男性を弄んできた過去があるのに被害者ぶるな」といった論調が一部で熱を帯び、炎上が加速。
この現象は、バラエティ番組における「作られたピカレスク(悪漢)的キャラクター」と、公職者としての「個人の尊厳・人権」が混同された典型例といえます。エンターテインメントの文脈で消費された過激な言葉が、数年の時を経て政治的対立の道具として再利用されるという、インターネット社会特有のデジタルタトゥー問題が浮き彫りになりました。