松竹株式会社が世に送り出した全50作に及ぶこのシリーズは、日本映画界の歴史において前人未到の金字塔である。単一の主演俳優によってこれほど長く継続した映画シリーズは世界的に見ても類を見ない。その屋台骨を支えたのは、主役を取り巻く柴又のレギュラー陣の圧倒的なアンサンブルだった。
映画が描いたのは、完璧な善人でもなければ悪人でもない、欠点だらけの市井の人々が織りなす相互扶助の精神だ。迷惑をかけ、喧嘩をし、それでも最後には笑って許し合う。効率や合理性が最優先される現代社会において、このシリーズが提示した「泥臭い人間関係の豊かさ」は、今なお私たちが立ち返るべき普遍的なメッセージを投げかけている。