物語の開始当初、フォスフォフィライトは硬度わずか「三半規管ならぬモース硬度3.5」という脆弱さと、特異なフォスフォフィライト特有の性質ゆえに戦闘にも内勤にも不向きな落ちこぼれとして描かれていました。しかし、仲間を守りたい、先生の役に立ちたいという純粋な渇望が、皮肉にも彼を原型が残らないほどの変貌へと導いていきます。
宝石たちの身体は微小生物「インクルージョン」を含んでおり、身体の欠損はそのまま「記憶と人格の一部喪失」を意味します。フォスが辿った形態変化のプロセスは、成長の軌跡であると同時に、自己のアイデンティティを削り取っていく過酷な解体作業そのものでした。
フォスの代表的な形態変化のプロセスは以下の通りです。
1. 初期形態(無垢なミントグリーン)
硬度3.5。脆く傷つきやすいが、明るく饒舌。博物誌編纂を任されるも成果を出せず、自らの無力さに苛立ちを募らせていた原点の姿です。
2. 脚部の置換(アゲート・貝殻)
海でカタツムリ状の生物(ウェントリコスス)に飲み込まれ、両脚を喪失。アゲート(瑪瑙)と貝殻の複合素材を接合したことで、宝石界随一の圧倒的な走力を獲得します。この俊足化が、戦場への介入とさらなる悲劇の引き金となりました。
3. 腕部の置換(金・白金合金による金継ぎ)
流氷の囁きに誘われて両腕を切断・喪失。代用として流動的な金・白金合金を体内に取り込みました。日本の伝統技法である「金継ぎ」を思わせるこの結合により、重量と変形自在の攻撃力を手に入れますが、合金の重圧は常に精神を圧迫し続けます。
4. 頭部の置換(ラピスラズリ)
戦闘で頭部を奪われたフォスに、月人へ連れ去られた仲間・ラピスラズリの頭部を移植。天才的な知略と引き換えに、ラピスの思考癖や冷徹な論理が混ざり合い、それまでの無邪気さは決定的に失われました。
5. 月人化・合成形態から神性体へ
真実を求めて月へ赴いたフォスは、月人の技術で片目を義眼にし、さらには地上と月の仲間たち双方から裏切られる中で粉々に砕かれ、220年間の埋没と狂気の日々を経験。最終的に金剛の右目を受け継ぎ、すべての要素を統合した「祈りの機械」へと変貌を遂げました。