2007年のオープン以来、約14年以上にわたり神楽坂のスイーツカルチャーを牽引してきた名店が、なぜ営業終了の道を選んだのでしょうか。飲食業界の動向および関係者へのヒアリング取材から、主に3つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第一に挙げられるのが、長期建物賃貸借契約の満了です。神楽坂の隠れ家的ロケーションを活かした施設設計は魅力的であった反面、建物の定期更新期を迎えたタイミングで、施設改修や契約条件の見直しが重なりました。第二に、2026年代初頭の生活様式変容に伴うカフェ利用客の行動変化です。イートイン主体のサロン型店舗は座席数の制限やテイクアウト需要へのシフトを迫られ、運営コストとのバランス再構築が急務となっていました。
そして第三の要因が、トップショコラティエ・土屋公二シェフによるブランド集約と事業承継を見据えた経営判断です。多店舗展開による拡大路線から、本店を中心としたクオリティの絶対的維持、Bean to Barの探求、ECプラットフォームの強化へと舵を切ったことが、惜しまれつつの幕引きにつながったと分析されています。