そうしたリアルな裏社会の悲壮感と冷酷さを、銀幕の上で容赦なく暴いてみせたのが北野武監督の映画『アウトレイジ』シリーズだ。従来の極道映画が好んで描いていた義理人情や任侠道という美名を徹底的に削ぎ落とし、そこにあるのは自己保身、裏切り、そして不条理な暴力の連鎖だけであった。
血みどろの権力闘争の中で登場人物たちが次々と使い捨てられていく様は、現代の暴力団が抱える虚無感そのものを射抜いていた。かつてのロマン主義的な極道映画の文脈を解体し、ドライで即物的な現代バイオレンスへと転換させた同作の衝撃は、今なお日本のクライム表現に決定的な影響を与え続けている。