物語は、地方都市に暮らす島原一家の崩壊劇を中心に展開します。厳格な父・徹平(並木史朗)と優しい母、そして高校生の姉・紀子と妹・ユカ。一見すると絵に描いたような幸福な家庭でしたが、紀子は心の中に満たされない孤独を抱えていました。「廃墟.com」で「ミツコ」と名乗り始めた紀子は、ある日突然上京し、レンタル家族の世界へ身を投じます。
姉を追って上京したユカもまた、自分自身を演じることに疲れ果て、「ヨーコ」として他人の家族を演じる仕事に安らぎを見出します。残された母は絶望のあまり命を絶ち、家族を奪われた父・徹平は、娘たちを取り戻すため自ら客として「レンタル家族」を依頼。ある一軒家で、本物の父親と、他人の娘になりきる紀子とユカが食卓を囲むという狂気の再会が実現します。
クライマックスでは、暴力と狂気が交錯する中で虚構と現実の境界が完全に崩れ去ります。家族という概念の脆さを徹底的に暴き出したラスト、夜明けの街を一人歩き出すユカの独白は、観る者の胸を激しく揺さぶる名シーンとして記憶されています。