建物を語る上で欠かせないのが、世界的な建築家・磯崎新の存在だ。12メートル角の立方体を基本単位(グリッド)として構成されたこの建物は、竣工直後から建築界に衝撃を与え、1975年の日本建築学会賞を受賞した。
モダニズム建築の精緻なロジックを極限まで突き詰めながら、内部空間にはどこか迷宮のような奥行きが潜む。アルミパネルの冷徹な質感と、池の水面に映る柔らかなリフレクション。磯崎が意図したのは、美術品を収容する「箱」ではなく、建築そのものが思考を刺激する装置だったのではないか。細部のジョイントひとつを取っても、当時の職人技と設計思想のせめぎ合いが刻まれている。