吉田拓郎を語る上で欠かせないのが、野外フェスティバルの歴史を塗り替えた大規模ライブの存在です。なかでも1975年8月2日〜3日に静岡県掛川市・つま恋で開催されたオールナイトコンサートは、日本音楽史の転換点となりました。
当時の報道や関係者の証言によると、交通機関が麻痺するほどの混乱の中、全国から約6万5000人の若者が集結。朝まで歌い続けるアーティストと、それに呼応して拳を突き上げる観客の姿は、単なるコンサートを超えたひとつの社会現象でした。メインスピーカーから放たれる圧倒的な音圧と熱気の中で披露された「人間なんて」の長尺シャウトは、今なおファンの間で伝説の光景として刻まれています。
さらに31年後の2006年9月23日には『吉田拓郎 & かぐや姫 Concert in つま恋 2006』として再び聖地に集結。3万5000人の中高年ファンが全国から駆けつけ、夜空の下で「落陽」や「外は白い雪の夜」を大合唱しました。このイベントは、かつての若者カルチャーが成熟した大人の文化として定着した瞬間を象徴する出来事となりました。