この地域を深く知る上で外せないのが、紀伊山地の霊場と参詣道の歴史です。神仏習合の思想と山岳信仰が融合したこの地は、平安時代から貴族や庶民を問わず「蟻の熊野詣」と称されるほど多くの巡礼者を惹きつけてきました。
まず北端に位置する吉野山では、シロヤマザクラを中心に約3万本もの桜が下千本・中千本・上千本・奥千本と山麓から山頂へ向けて順番に開花します。吉野山の桜の見頃は例年4月上旬から中旬にかけて約3週間にわたって移ろい、一目千本と称される圧巻の景観を生み出します。金峯山寺蔵王堂を中心とする厳かな佇まいは、桜の美しさとともに信仰の重みを伝えています。
南へ下ると、世界遺産に登録された熊野古道が旅人を迎えます。古道歩きと合わせて巡りたいのが、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社の3社からなる熊野三山の参拝ルートです。特に熊野那智大社と隣接する那智山青岸渡寺の三重塔、そして落差133mを誇る名瀑の景観は世界的な象徴となっています。那智の滝へのアクセスは、JR紀伊勝浦駅から路線バスで約30分、バス停から石段を下りて徒歩約5分と整備されており、公共交通機関利用でも無理なく訪れることが可能です。