物語のもう一つの軸として視聴者を魅了したのが、最後の将軍・徳川慶喜と栄一との濃密な関係性だ。慶喜役を演じた草儺剛は、孤独と高潔さを背負った悲劇の君主を静かなる狂気と気品をもって演じきった。一言一句に込められた重み、沈黙の中に漂う感情の機微は、テレビ画面越しにも緊張感をダイレクトに伝えてきた。
栄一と慶喜という身分も生い立ちも異なる二人が、互いに敬意を払い、時代のうねりの中で固い絆で結ばれていくプロセスは実にスリリングだ。草儺剛が見せた深みのある佇まいと、吉沢の熱量溢れるお芝居がぶつかり合うシーンの数々は、大河ドラマ史に残る名場面として語り継がれている。