内閣総理大臣としての石破茂は、長年にわたり持論としてきた「地方創生」と「安全保障の現実的運用」を両輪に据え、独自の政権カラーを強く押し出す構えだ。しかし、その足元は決して盤石とは言えない。
内閣官房長官を通じて全省庁を束ねる従来の「首相官邸主導」スタイルは、強烈なトップダウンゆえに省庁間の軋轢を生みやすいリスクを孕む。特に防衛・外交分野における独自のリアリズムと、財政規律を重んじる財務省との距離感は、政策決定のスピードを左右する大きな火種となっている。
党内基盤の脆弱さを補うため、石破首相は世論の支持を最大の防壁と位置付ける。だが、看板政策の具体化が進まなければ、官邸への求心力は一気に低下しかねない。妥協なき理念と現実政治の妥協点を見出せるかどうかが、政権寿命を決定づける試金石となる。