済州島を訪れた日本人旅行者が最初に突き当たる壁が、「島内全域に電車・地下鉄が1本も通っていない」という事実です。済州島の総面積は約1,850平方キロメートルにおよび、これは東京都の約85%、大阪府とほぼ同等の広大さを持っています。このスケール感を把握せず、徒歩や行き当たりばったりの移動を想定していると、初日で確実に足止めを食らうことになります。
島内の主な移動手段は「路線バス」「タクシー」「レンタカー」「貸切チャーター」の4択に限られます。それぞれの特徴とリスクを把握しておく必要があります。
観光客が最も依存することになるのがタクシーですが、道端で手を挙げて拾う「流しのタクシー」は、済州市街地や空港周辺を除き、郊外のビーチやカフェエリアではほぼ皆無です。そこで生命線となるのが配車アプリ「Kakao T(カカオタクシー)」です。
カカオタクシーを利用すれば、韓国の電話番号がなくても日本のクレジットカードを登録して配車が可能であり、行き先をアプリ上で設定できるため言語トラブルも回避できます。ただし、注意すべきは「過疎地・深夜帯のマッチング率低下」です。涯月(エウォル)の海岸沿いや城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)周辺のカフェで日没まで過ごした結果、帰りのタクシーが30分以上捕まらず途方に暮れたという報告が多発しています。日没後や悪天候時は、早めの配車リクエストが鉄則です。
路線バス(幹線バス・支線バス・急行バス)は島内全域を網羅しており、運賃も1回あたり1,200ウォン〜3,000ウォン(約135円〜340円)と極めて安価ですが、運行間隔が30分〜1時間に1本という路線も珍しくありません。また、車内アナウンスは基本的に韓国語のみとなるため、乗降車アラートを設定できる地図アプリの活用が欠かせません。
レンタカー利用時の国際免許証と交通ルールの注意点
自由度の高いレンタカーは非常に魅力的ですが、運転には相応のリスクが伴います。韓国で運転するには、ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証と日本の運転免許証、パスポートの原本提示が厳格に求められます(国際免許証の有効期限は発行から1年)。
さらに、日本とは異なる「右側通行・左ハンドル」環境に加え、韓国独自の「赤信号でも歩行者がいなければ原則右折可能」「ラウンドアバウト(環状交差点)での優先権ルール」に慣れる必要があります。済州島内には無数の速度取締カメラ(オービス)が設置されており、制限速度30km/h〜50km/hの区間が頻繁に現れるため、違反金の請求トラブルにも警戒してください。