大学時代、将来の選択を前にした加瀬亮は、父と同じ総合商社への進路ではなく、演劇という未知の世界を選んだ。当然、現実的な成功と厳格な規律を重んじる父・豊氏との間には激しい衝突が生まれたという。家を出る決意をし、浅野忠信氏の付き人からキャリアをスタートさせたエピソードは有名だ。
「安定したエリートコースを捨ててまでなぜ」という父親の困惑と、自らの足で立ちたいという息子の執念。二人は一時、実質的な断絶状態に陥った。だが、この葛藤こそが、彼を「二世」という安易な肩書から遠ざけ、自力で演技派としての地位を鍛え上げる最大の試練となったのである。