本作の最大の魅力は、実力派俳優たちが演じる個性豊かなキャラクターたちの人間模様にある。それぞれの置かれた環境や苦悩が丁寧に描写されており、登場人物たちが織りなす相関図は単なる「同居人」を超えた深い信頼関係で結ばれている。
主人公の赤城俊平を演じた重岡大毅は、妻を亡くしたばかりの絵本出版社社員という難役を熱演。息子への溢れんばかりの愛と、悲しみを隠して笑顔を見せる健気さを見事に体現した。一方、真面目で少し頭の硬い小学校教師のシングルマザー・桃瀬礼役を務めた木村文乃は、自立心の強さとふと見せる脆さのギャップを鮮やかに表現している。
さらに、物語のトリガーとなる「お好み焼き屋 にじや」の店主・小山内蒼介役の仲野太賀が見せる抜群の存在感と包容力、そして夢を追いかける破天荒なシンガーソングライター・横瀬めいく役を演じた岸井ゆきのの弾けた演技が見事なコントラストを生み出している。四者四様のアプローチが交錯することで、「にじや」という場所が彼らにとってかけがえのない居場所へと変化していくプロセスのリアリティが際立っている。