見立て遊びが観察され始める時期は、生後11か月〜1歳半頃が一般的な目安です。この時期、子どもの脳内では「自分自身の身体を使った真似」から「外部の物を使った見立て」へと、段階的な進化が起こります。
発達のプロセスは、大きく以下の3つのフェーズに分かれます。
フェーズ1:身振り模倣と自己向けの見立て(1歳〜1歳3か月頃)
最初に見られるのは、自分自身を対象にしたふり行動です。何もない手や指を口元に持っていき「あむあむ」と食べる真似をする、タオルを体にかけて「ねんね」と横たわるなど、日常の習慣的な動作を再現します。道具そのものの用途を正しく理解し始めた証拠でもあります。
フェーズ2:他者や玩具を対象にした見立て(1歳3か月〜1歳8か月頃)
次に、行動の対象が「自分」から「外部」へと広がります。空のスプーンをぬいぐるみの口元に運んで「あーん」と食べさせたり、お人形に布をかけて寝かしつけたりする姿が現れます。また、ここで本来の形とは異なる物を別の物に見立てる行動が活発になります。
- 細長い棒や積木:受話器やスマートフォンに見立てて「もしもし」と耳に当てる
- 丸いコースターやフタ:ハンドルに見立てて「ブーブー」と運転する
- 空き箱やカゴ:お風呂やベッドに見立ててぬいぐるみを中に入れる
フェーズ3:複数素材の組み合わせと見立ての連鎖(1歳9か月〜2歳半頃)
2歳前後になると、積木をお皿に乗せて「ハンバーグできたよ」と差し出し、食べた大人が「おいしい!」とリアクションすると満足そうに片付けるといった、一連のシナリオ(プロット)を伴う見立てが可能になります。この段階を迎えると、おままごとなどの本格的な「ごっこ遊び」への移行が始まります。
見立て遊びの進展は、言葉の発達と完全に同期している点も見逃せません。「言葉」もまた、特定の音声や文字で現実の概念を表す「究極の象徴(シンボル)」だからです。ブロックを車に見立てられる力と、「ブーブー」「くるま」という単語で実物を指し示せる力は、脳の同じ認知基盤から生まれています。