将棋倶楽部24が「ネット将棋の最高峰」として神格化された理由は、その妥協なき競技性にありました。持ち時間は標準で「15分・秒読み60秒」という本格的な設定が主流であり、運や勢いだけで勝つことは不可能に近い環境が整えられていたのです。
日本将棋連盟公認道場としての看板を背負っていた同サイトには、歴代の名だたるプロ棋士が奨励会時代から匿名ハンドルネームで参加していました。羽生善治九段や渡辺明九段をはじめ、現棋界の絶対王者である藤井聡太竜王・名人もまた、幼少期や奨励会時代にこの盤上で腕を磨いたと伝えられています。深夜の特番インタビューや棋士の手記でも「24の深夜対局で未知の強豪に叩きのめされ、悔しくて朝まで棋譜を並べ直した」という生々しい告白が幾度となく語られてきました。
歴代の最高レート保持者の戦いも伝説化しています。かつてはR3000が人類の限界点と目されていましたが、2010年代以降、コンピュータ将棋ソフトの進化や超絶技巧を持つ新世代アマ強豪、さらにはプロ棋士の参戦により、最高到達レートはR3200〜3300台という神の領域にまで達しました。トップランカー同士の対戦が始まると、数百人から千人を超えるギャラリーがWeb上で観戦し、チャット欄が熱狂に包まれる光景は24の風物詩でした。
一方で、この硬派すぎる環境は過酷な「初心者の壁」を生み出しました。ルールを覚えたばかりの初学者が意気揚々と登録しても、最下位クラスであるはずの15級前後の相手に容赦なく完膚なきまでに叩きのめされる事態が頻発。「何十局指しても1勝もできない」という絶望感からサイトを去るユーザーが後を絶たず、結果として強豪だけが残留し、全体レートがさらにデフレ化するという悪循環に陥っていったのです。