ジベル薔薇色粃糠疹には、他の皮膚炎とは明確に異なる特徴的な経過パターンが存在します。この発症プロセスを正しく把握しておくことが、無用なパニックを防ぐ第一歩となります。
発症の合図となるのが、全身に発疹が広がる1〜2週間前に出現する「ヘラルドパッチ(初発疹・母斑)」と呼ばれる単発の皮膚病変です。多くは体幹部(胸部、腹部、背部、太ももなど)に現れ、大きさは2〜5cm前後のやや大きめな楕円形の紅斑を形成します。縁の部分に薄皮が剥がれたような「粃糠様(ひこうよう:フケ状)の細かいカサカサ(鱗屑)」を伴うのが顕著な特徴です。この段階では「虫刺され」や「白癬(タムシ)」と誤認されることが珍しくありません。
初発疹が出現してから数日から十数日が経過すると、突如として第2段階へ移行します。胸や背中、脇腹を中心として、1〜2cm程度の無数の小さな卵円形の紅斑が一気に散布されるのです。このとき、発疹の長軸が肋骨の走行や皮膚割線(皮膚の緊張線)に沿ってハの字を描くように規則正しく配列します。これが臨床現場で「クリスマスツリー様配列」と称される象徴的な臨床像です。
自覚症状としての痒みには大きな個人差があります。全体の約25%は無症状、約50%は軽度の痒みにとどまりますが、残る約25%の患者は耐え難い強い痒みを訴えます。特に身体が温まった際や発汗時に痒み物質であるヒスタミンが遊離し、不快感が増幅する傾向にあります。