本作を語る上で欠かせないのが、ヒロイン神林美智子を演じてきた女優たちの変遷である。1990年の『飛龍伝90』で富田靖子が魅せた圧巻の演技は、それまでの演劇の常識を覆し、伝説として語り継がれている。その後も牧瀬里穂、広末涼子、桐谷美玲といった各時代を象徴するトップ女優たちが、己の限界に挑むようにこの大役に挑んできた。
そして2026年、つかこうへい没後10年追悼公演として上演された『飛龍伝2026』において、ヒロインを務めたのが菅井友香だ。アイドルという枠組みを超え、汗と涙に塗れながら全身全霊で美智子を演じきった彼女の姿は、多くの観客と批評家を唸らせた。時代ごとに選ばれし女優たちがバトンを繋ぎ、その魂を磨き上げてきた歴史こそが、作品の生命力そのものと言える。