マスクを脱ぎ捨てて素顔に戻った後の金本の快進撃は、日本のプロレスファンにとって伝説的な語り草となっています。当時のプロレス会場や後年のネットコミュニティにおけるタイガーマスク時代の金本に対するネットの反応を検証すると、評価の劇的な変遷が見て取れます。
マスクマン時代は「動きが硬い」「初代の模倣にすらなっていない」といった批判的な声が大半を占めていました。ところが素顔になり、黒のショートタイツ一丁でリングに上がり始めた途端、ファンの論調は180度転換したのです。
「マスクを被っていた頃とは気迫が桁違い」「感情をダイレクトにぶつけてくるスタイルが一番熱い」という賞賛が相次ぎました。大谷晋二郎、高岩竜一、ケンドー・カシンらと繰り広げた「トンパチ」な激闘、そしてBEST OF THE SUPER Jr.での通算3度におよぶ優勝(1998年、2002年、2009年)という輝かしい金本浩二の経歴は、彼がマスクを捨てた判断の正しさを証明しました。
「喧嘩屋」「新日ジュニアのアニキ」と呼ばれ、時に客席を鋭い眼光で睨みつけながら入場する金本の姿に、平成のプロレスファンは本物のリアリズムを見出していました。作られたヒーローを演じることを拒み、己の生き様をそのままプロレスに昇華させた姿こそ、支持を集め続けた核心でした。