どのような罪を犯した際に禁錮刑が科されてきたのか。その対象犯罪には法理上の明確な共通項が存在します。
刑法学において、懲役刑が科されるのは「利欲的・反社会的な害意をもって犯した故意犯」が中心であるのに対し、禁錮刑は主に「悪意や利欲性を持たない過失犯」や「政治的・道義的信条に基づく確信犯」を対象として規定されてきました。
【禁錮刑が規定されていた主な対象犯罪】
- 自動車運転死傷行為処罰法:過失運転致死傷罪(7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金)
- 刑法(過失犯):業務上過失致死傷罪、重過失致死傷罪(5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金)
- 刑法(内乱・国交に関する罪):内乱罪、内乱予備・陰謀罪、私戦予備・陰謀罪(政治犯に対する名誉拘束的性格)
- 刑法(名誉・信用に対する罪):名誉毀損罪(3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金)
- 特別法:公職選挙法違反、政治資金規正法違反の一部条項
実務上、禁錮刑の判決が下される大半を占めていたのが「自動車の運転に伴う過失運転致死傷罪」です。一般市民が重大な悪意を持たずに起こしてしまった交通事故において、前科がなく真摯に反省しているケースなどでは、懲役刑ではなく禁錮刑が選択される傾向が定着していました。