気象庁の緊急地震速報が鳴った瞬間、私たちが本能的な恐怖や強い不快感を覚えるのは、偶然ではありません。そこには人間の防衛本能を強制的に起動させる心理的効果が組み込まれています。
人間は進化の過程で、赤ちゃんの泣き声や獣の唸り声、金属が擦れ合う高音など、特定の周波数や不調和な音に対して即座に警戒心を抱くようプログラミングされてきました。警告音はこの生物学的特性を応用し、脳の扁桃体(恐怖や警戒を司る部位)を瞬時に刺激するように作られています。
心地よい音楽を聴いたときに分泌されるドーパミンとは対照的に、速報音を耳にすると体内では瞬時にアドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが分泌されます。これにより心拍数と血圧が急上昇し、体が「闘争・逃走反応」の待機状態に入ります。あの背筋が凍るような感覚は、脳が「直ちに身の安全を確保せよ」と全身に下している緊急指令の表れなのです。