かつて、南洋で発生した台風は日本列島へ接近するにつれて勢力を弱めるのが常だった。海水温が低くなり、水蒸気の供給が絶たれるためだ。しかし、2026年の気象観測データはその前提を完全に覆している。小笠原諸島周辺から伊豆諸島沖にかけての海面水温が連日30度近くを記録。台風にとっての「燃料」が関東直近まで無限に補給され続ける環境が整ってしまった。
この海域の高温化は、偏西風の蛇行と相まって台風の速度を極端に鈍らせる悪影響も引き起こしている。足の遅い強烈な台風が関東地方の真上や目と鼻の先に停滞することで、風害だけでなく累積雨量が従来の想定を容易に突破する。気象予報士が発する「これまでに経験のない暴風雨」という言葉は、もはや使い古された形容詞ではなく、目前に迫る現実の脅威なのだ。