神田淡路町のオフィス街に店を構える近江屋洋菓子店は、1884年の創業から数えて140年以上の歴史を刻んできた都内屈指の老舗です。「リーズナブルだけどチープでないものを」という歴代店主が受け継いできた確固たる信念は、過度な装飾や高級路線に走りがちな現代の洋菓子業界において異彩を放っています。
同店の最大の特徴は、毎朝店主自らが大田市場へ直接足を運び、目利きして仕入れる極上の生フルーツにあります。仲卸を通さず市場で最高品質の果物を競り落とすことで、中間マージンを抑えつつ圧倒的な鮮度とボリュームを実現しています。店内アトリエで職人たちが手作業で皮を剥き、カットしてそのままケーキやポンチへと仕立てる姿は、まさに都市型クラフトマンシップの原点といえます。
また、包装紙やリボンに描かれた温かみのある少女のイラスト(鈴木信一画伯によるデザイン)や、クラシカルなブルーのリボンは、手にした瞬間に昭和の温もりと特別感を想起させます。単なるスイーツの枠を超え、神田という土地の記憶と職人の誠実さが詰まった「本物の東京手土産」として選ばれ続ける理由がここにあります。