2004年4月、米軍主導の軍事介入によって混迷を極めていたイラク戦争のさなか、世界を戦慄させるニュースが飛び込んできた。現地で医療支援や児童支援を行おうと志した高遠菜穂子氏や郡山総一郎氏、そして当時18歳だった今井紀明氏の3人が、首都バグダッド近郊で武装勢力によって拘束されたのだ。
身代金の要求や自衛隊撤退を迫る武装勢力の映像はNHKなどメディアを通じて世界中に拡散され、日本政府と外務省は前代未聞の危機管理対応を余儀なくされた。当時、民間人による人道支援の情熱と危険地帯への渡航リスクという相容れない課題が、突如として日本社会の目の前に突きつけられたのである。