中央銀行の舵取りを担う植田和男総裁と氷見野良三副総裁のタッグは、従来の政策運営とは一線を画す慎重かつ理論派のアプローチで知られる。両首脳が記者会見や単独インタビューで発する一言一句は、記者クラブを通じて即座に解析され、アルゴリズム取引のプログラムに読み込まれていく。
「経済・物価の見通しが実現していくなら、引き続き金利を引き上げていく」という植田総裁の定形化された言葉の裏にある「行間」を、いかに早く読み解くか。氷見野副総裁による金融システムの安定性に触れた発言が、実は利上げへのシグナルであったと後から判明するケースも少なくない。記者たちによる会見での鋭い質疑応答は、単なる質疑を超えて今後の金利パスをあぶり出す公開の神経戦となっている。